・パースとは、一体何なんだろう? なんか、遠近法みたいだけど、難しそうだな…。どんなものかわかりやすく知りたいな
・パースってちょっと難しくて苦手だな…。できればあんまり使いたくないけど、パースってやっぱり使った方がいいのかな?
・パースを勉強するのに、初心者にもわかりやすくてオススメの本とかあったら知りたいな
こういった疑問に答えます。
✔︎ 本記事の内容
1.パースとは何かわかりやすく簡単に解説します
2.パースを使って絵を描くことの効果
3.初心者の方がパースを勉強するのにオススメの本 【とりあえずこの1冊を読めばパースの基礎がわかります】
この記事を書いている僕は、パースの勉強は3年ほどです。
こういった僕がわかりやすく解説します。
目次
パースとは何かわかりやすく簡単に解説します
パースとは、遠近法の1つです。
そして、遠近法の中でも特に「線遠近法」というものです。
さらに、パースというのは実は略称で、正式に言うと、パースペクティブ(perspective) と言います。
長いので、パース、パースと言っているんですね。
日本語では「透視図法」と言ったりします。
なので、パースとは何かをまとめると、
パース = パースペクティブ = 透視図法 = 遠近法の1つ = 線遠近法
という感じになります。

簡単に言うと、パース = 線遠近法ってことだなんだね!
「線遠近法」とは、どんな遠近法?
さて、パースはパースペクティブの略称であり、
透視図法であり、線遠近法という遠近法の一種であることが分かりました。
ただ、線遠近法と言われてもなんだかよく分かりませんよね。
そこで、次は線遠近法とは何かについて見ていきたいと思います。
線だけで遠近感を表現できるから「線遠近法」
線遠近法(パース・透視図法)は、その名の通り、
線だけで遠近感を表現できるので、「線遠近法」と呼ばれています。
そもそも、パース(透視図法・線遠近法)は、近くにあるものほど大きく、
遠くにあるものほど小さく描くことで、遠近感を表現します。
どういうことかと言うと、例えば以下のような感じです。
これは実際に、パースを使って描いたブロック塀です。

どうでしょうか?
奥に行くにつれてブロック塀の縦(高さ)の幅が小さくなっていくように見えませんか?
以下のように、ピンクで塗った一番手前の端の縦の線と、一番奥の縦の線では幅が全く違いますよね。

しかし、これはパース(遠近感)がついているので、こう見えるだけで、
実際は、真正面から見ればただの長方形ですね。
では、もう1つ例を見てみましょう。
これは実際にパースを使って描いた一本道です。

どうでしょうか?
遠くに向かってずーっと続いていく道に見えませんか?
この道をもっとわかりやすくシンプルな図にすると、以下のような感じになります。

たった2本の線で奥行き感や遠近感を表現しています。
以上のように、「線だけ」で奥行き感や遠近感を表現できるので、
パースは、遠近法の中でも、「線遠近法」と呼ばれているのです。
その他の遠近法
パース(透視図法)は、遠近法の中でも、線遠近法と呼ばれており、
線だけで遠近感を出すことができるので、そう呼ばれていることが分かりました。
では、その他にはどのような遠近法があるのでしょうか?
その他の遠近法と比較することで、
線遠近法(パース・透視図法)の理解がより深まるかも知れません。
では、代表的なその他の遠近法を2つ紹介します。
① 空気遠近法
空気遠近法とは、空気や大気が持つ性質によって奥行きを出して、遠近感を表現する方法です。
空気中や大気中には、水分(霧など)やスモッグ(車や工場の排気ガスの汚れた霧など)、ホコリなどが含まれていますが、
これによって、遠くの景色や建物などが、かすんで見えたりします。
逆に近くの建物ははっきり見えたりしますが、
こんな感じで、空気や大気の性質によって奥行き感を出すのが空気遠近法です。
例えば以下のような感じです。

これは、実際に僕が撮った写真なのですが、
近くの木々は鮮やかに見えていますが、一番遠くの山なんかは青みがかって彩度が落ちているのが分かりますよね。

すごく奥行き感を感じるね!
② 重ね遠近法
重ね遠近法とは、物の重なり方で遠近感を表現する方法です。
例えば、以下のような感じでリンゴがあったときに、
どちらのリンゴが手前にあるか、どちらのリンゴが奥にあるのかを
重ねることで前後関係を明らかにして表現しています。

これが、重ね遠近法です。
パースの原理・仕組みについて 透視図法の「透視」とは?
さて、冒頭で、パースは「透視図法」と言ったりもすると紹介しました。
もう一度、パースとは、について確認しておくと以下のような感じでしたね。
パース = パースペクティブ = 透視図法 = 遠近法の1つ = 線遠近法
つまり、パース = 透視図法 なわけですが、
そもそも透視図法の「透視」って何なのか気になりませんか?

なにかを透視するのかな?
この「透視」の意味は、パース(透視図法)の原理・仕組みを理解するとわかります。
では、パース(透視図法)の原理・仕組みとは一体何なのでしょうか?
それはズバリ、「ガラスで透かして見る」です。
どういうことかと言うと、例えば以下のような感じで箱が目の前にあるとします。

この箱をそっくりそのまま正確に描きたい場合、どうしたら良いでしょうか?
簡単です。
透明なガラスの板を箱の前に置いて、
このガラスの板越しに見えたまま、ガラスの板上になぞって描けば良いのです。

そうすれば、ただ見えたままなぞるだけなので、簡単に正確に描くことができますよね。
こうして描いたものが「透視図」というものです。
パースでよく見かける、一点透視、二点透視とかいう以下のような図になります。

以上がパース(透視図法)の原理・仕組みです。

ガラス越しに物を見て、なぞって描くから透視図法というんだね
アイレベル(EL)、消失点(VP)、一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法について
パース(透視図法)には、最低限押さえておくべき基礎知識があります。
それは主に以下の3つです。
① アイレベル(EL)
② 消失点(VP)
③ 一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法
基本的には、上記3つの知識を押さえておけばパースを使って遠近感のある絵やイラストを描くことができます。
アイレベル(EL)とは?
アイレベル(Eye Level・EL)とは、「カメラの高さ」です。
カメラの高さなので、カメラで撮影していたら、地面からそのカメラまでの高さがアイレベルになります。
また、人の目でそのまま見ているのなら、地面からその目の高さまでがアイレベルになります。

人の目もカメラのレンズとほぼ一緒だよね
アイレベルを図で表すと、以下のような感じです。

地面に人が立っていて(あるいはカメラがあって)、箱を見ています。
地面からその人の目、あるいはカメラまでの高さがアイレベルになります。
仮に、この人の目の高さや、カメラの高さが地面から175センチであれば、
アイレベルは175センチ、ということになります。
そして、このアイレベル上には、次に説明する消失点(VP)というものがあります。
アイレベルについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
② 消失点(VP)とは?
続いて、消失点(VP)です。
消失点(VP)は、バニシングポイント(Vanishing Point)といって、
パース(透視図法)において、平行なもの同士は1つの点に収束するのですが、その点が消失点です。
どういうことかと言うと、例えば以下のように1本道があるとします。

今は真上から見た状態なので、ただの1本の板みたいに見えていますね。

ドローンかなんかで撮影していると考えてね
では実際に、この一本道に立ってみると、どう見えるのかというと、以下のような感じに見えるはずです。

どうでしょうか? 奥に行くほど道幅が狭くなっていくように見えませんか?

本当だ! 手前と奥では全然道幅が違うね!
この道の左右2本ラインをそのまま奥にずーっと伸ばしていくと、やがて1つの点に収束します。
この点が消失点(VP)です。
そして、この消失点があるところには、先程紹介したアイレベル(EL)があります。
図にすると以下のような感じです。

アイレベル(EL)と消失点(VP)は以下ように、基本的にセットの関係です。
・アイレベル(EL)があるところに消失点(VP)がある
・消失点(VP)があるところにはアイレベル(EL)がある
です。
つまり、物を見ている自分の目の高さや、撮影しているカメラの高さがアイレベルで、
そのアイレベル上に消失点があるということになります。
ただ、例外があって、
三点透視図法の3つ目の縦方向の消失点や、傾斜面の消失点に関しては、アイレベル上にはありません。
ここら辺の三点透視図法の消失点や、傾斜面の消失点については以下の記事で詳しく解説しています。
ただ、最初は少し難しいので、基本的にはアイレベルと消失点は常にセットの関係と覚えておいてOKです。
消失点について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
パースの種類は、一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法の3種類
パースには、3種類あります。
具体的には、以下のとおりです。
① 一点透視図法
② 二点透視図法
③ 三点透視図法
3つの違いは、簡単に言うと、
・消失点(VP)が何個あるのか?(何個使って描くのか?)
・どういう状態で物を見ているのか?
による違いです。
具体的に説明していきます。
① 一点透視図法

一点透視図法は、消失点が1個なので、一点透視図法と呼ばれます。
・どのような状態で物を見ているのか?
→ 物を正面から見た状態(物に対して自分orカメラが平行な状態)です。
上から見ると以下のような状態です。


物に対して自分やカメラが平行で、正面から見ている状態なんだね
・どんなときに使うのか?
→ 物を正面から見たときに使います。物に対して自分orカメラが平行なときです。
例えば、建物を正面から見たときなどです。


建物に対して自分やカメラが平行になっているんだね
・なぜ、消失点が1個なのか?
→ 物に対して自分orカメラが平行なので、奥行き方向にしかパース(遠近感)がつかないからです。
箱の横の線はアイレベルに対して平行、高さの線はアイレベルに対して垂直です。
一点透視図法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
また、一点透視図法の描き方については以下の記事で詳しく解説しています。
② 二点透視図法

二点透視図法は、消失点が2個なので、二点透視図法と呼ばれています。
・どんな状態で物を見ているのか?
→ 一点透視の状態の物を回転させて見た状態(物に対して自分orカメラが斜めになっている状態)です。
上から見ると以下のような感じです。

・どんなときに使うのか?
→ 少しわかりにくい表現ですが、一点透視の状態の物を回転させて見たときに使います。
例えば、建物を正面ではなく、斜めから見た場合などです。


一点透視は建物を正面から。二点透視は一点透視の状態から移動して、建物を斜めから見た感じだよ
・なぜ、消失点が2個なのか?
→ 一点透視の状態の物を回転させたためです。
そのため、2つの面に対してそれぞれの消失点ができます。
唯一、収束しないのは高さの線だけです。
高さの線はアイレベルに対して垂直に描きます。
二点透視図法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
また、二点透視図法の描き方については以下の記事で詳しく解説しています。
③ 三点透視図法


三点透視図法は、消失点が3個なので、三点透視図法と呼ばれます。
・どんな状態で物を見ているのか?
→ 二点透視の状態の物を上から見下ろしたり、下から見上げたりした状態です。
・どんなときに使うのか?
→二点透視の状態の物を上から見下ろしたり、下から見上げたりしたときに使います。
例えば、二点透視の状態の建物を、少し高い位置から見下ろしたり、低い位置から見上げたりした場合などです。


これは、見下ろしている感じだね
・なぜ、消失点が3個なのか?
→ 消失点が2個の二点透視の状態の物を、上から見下ろしたり、下から見上げたりした状態なので、
縦方向にパース(遠近感)がつき、縦方向に消失点が1個追加されます。
そのため、消失点が3個になります。

3つ目の消失点は、アイレベル上にはないよ
三点透視図法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
また、三点透視図法の描き方については以下の記事で詳しく解説しています。
一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
パース(透視図法)の便利な知識 【増殖と分割】
アイレベル(EL)や消失点(VP)、
一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法の知識があれば、
遠近感のある絵やイラストを描くことができますが、
より遠近感のある絵やイラストを描くために知っておくと便利な知識を2つ紹介します。
① 増殖
② 分割
① 増殖
増殖は、同じ幅をパースがついた状態(遠近感がついた状態)で増やすことができるテクニックです。
例えば、電柱が2本立っていて、この先にも同じ間隔で電柱を描きたい場合などに使います。
パースがついていると、この幅を奥や手前に増やしたいなと思っても、定規で測って増やすことはできません。
そんなときに使えるのが増殖というテクニックです。
増殖の具体的なやり方については、以下の記事で詳しく解説しています。
② 分割
分割は、決まった範囲を同じ幅に切り分けたい場合に使うテクニックです。
例えば、この範囲に同じ間隔で電柱を5本立てたいといった場合に使います。
パースがついていると、定規で測って切り分けることができません。
そんなときに使えるのが分割というテクニックです。
それぞれ2分割や3分割、5分割、7分割などの方法については、以下の各記事で詳しく解説しています。
・2分割、2等分
・3分割、3等分
・4分割、4等分(2分割応用)
・5分割、5等分
・6分割、6等分
・7分割、7等分
・8分割、8等分(2分割応用)
・9分割、9等分
・10分割、10等分(5分割応用)
2 パースを使って絵を描くことの効果
遠近感のある絵やイラストを描くためには、パースを学ぶことが効果的です。
なぜなら、パースの知識があると、簡単に遠近感を表現できるからです。
例えば、道を描きたいと思ったときに、パースの知識があれば簡単に遠近感のある道を描くことができます。
逆にパースの知識がないと、なかなかうまく遠近感のある道を表現することは難しいです。
下の写真を見てください。

左側の道は、パースを使って描いていない道です。
一方、右側の道はパースを使って描いている道です。

左側の道はあまり遠近感のある道ではないね…
これは実際に僕がそうだったのですが、
パースを勉強する前までは、奥に向かって続く一本道を描きたいと思ったときに、
僕は、紙の下から上まで道を長く描いていました。
どうやったら遠近感を表現できるのかわからなかったのです。
しかし、パースを勉強してからはどう描けばいいのかがわかるようになりました。
パースを使った道の描き方は、以下の記事で詳しく解説しています。
ここまで読んだ方は、「とはいっても、パースを使わなくても遠近感のある絵やイラストは描けるのでは?」と思うかもです。
しかし、パースを最低限知っておいた方が、簡単に正しい遠近感のある絵やイラストが描けるようになります。
なので、繰り返しですが、遠近感のある絵やイラストを描くためには、パースを学ぶのが効果的です。
3 初心者の方がパースを勉強するのにオススメの本 【とりあえずこの1冊を読めばパースの基礎がわかります】
初心者の方が、これからパースを勉強する際にオススメなのが、
『パース塾 画力がメキメキUPする! いちばん簡単な遠近法講座』です。
とりあえず、この『パース塾 画力がメキメキUPする! いちばん簡単な遠近法講座』を1冊読めば、パースの基礎がわかります。
この『パース塾 画力がメキメキUPする! いちばん簡単な遠近法講座』を読み実践すると、
漫画の背景、イラスト、風景画を描くためのパース(透視図法)の基礎知識、ノウハウ
が身につきます。
なぜ、
漫画の背景、イラスト、風景画を描くためのパース(透視図法)の基礎知識、ノウハウ
が身につくのかというと、それは、
漫画の背景、イラスト、風景画を描くためのパース(透視図法)の基礎知識、ノウハウ
をマンガや、やさしい図、イラストを使って解説しているからです。
マンガや、やさしい図、イラストを使った解説なので、とてもわかりやすいです。
よって、どんな方でも「うわぁ…パースって難しくて分からない…」という感じにならずに読み進めることができます。
なので、『パース塾 画力がメキメキUPする! いちばん簡単な遠近法講座』を読み実践すれば、
あなたも、
漫画の背景、イラスト、風景画を描くためのパース(透視図法)の基礎知識、ノウハウ
を身につけることができるのです。
以下の記事で詳しく紹介しています。
また、以下の記事では、その他、パースのオススメの本を紹介しています。
ここまで、パースのオススメの本を紹介してきましたが、
どうしてもパースは難しくて苦手…。でも、遠近感のある風景とかを描きたい!
という方もいらっしゃるかと思います。そんな方には、
『こう描けば、そう見える! 水彩画「下書き」の裏ワザ』 がオススメです。
この『こう描けば、そう見える! 水彩画「下書き」の裏ワザ』を読み実践すると、
どんなに絵が苦手な人でも水彩画の下描きを簡単に上手く描ける「こう描けば、そう見える」という方法
が簡単に身につきます。
この『こう描けば、そう見える! 水彩画「下書き」の裏ワザ』は、
その名の通り、水彩画の下描きの描き方に特化した本なのですが、
パースなどの難しい遠近法や難しい描き方を使わなくても、
建物や道、山、森、木、花などを上手く描ける方法を紹介しています。
なぜ、
どんなに絵が苦手な人でも水彩画の下描きを簡単に上手く描ける「こう描けば、そう見える」という方法
が簡単に身にくのかというと、
この
どんなに絵が苦手な人でも水彩画の下描きを簡単に上手く描ける「こう描けば、そう見える」という方法
というのは、全て
☆や◇、『 』、ハ
といった文字や記号、図形だけで描ける方法だからです。
そして、これらの文字や記号、図形は難しい遠近法や難しい描き方ではなく、
どんなに絵が苦手な方でも描けるものなので、誰でも簡単に身につけることができます。
なので、『こう描けば、そう見える! 水彩画「下書き」の裏ワザ』を読み実践すれば、
あなたも、
どんなに絵が苦手な人でも水彩画の下描きを簡単に上手く描ける「こう描けば、そう見える」という方法
を簡単に身につけることができるのです。
以下の記事で詳しく紹介していますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
まとめ: パースとは何か わかりやすく簡単に解説します 【初心者向け】
パースとは、遠近法の1つで「線遠近法」というものでした。
パースを使うと、線だけで遠近感を表現できるので、すごく便利で効果的な表現方法だと思います。
ただ難しいですし、実際、僕も難しいなと感じています。
しかし、使いなせるようになると表現の幅が広がると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。
おわり
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